argon




外を吹き荒れる風は強く、
巻き上がる砂は容赦なく肌を打ち、
目も開けていられないほどに、





「大佐、この前頼んだ資料なんだけど、」

ふと思い出したんで訊いてみた。

「さて‥‥‥そんなものがあったかね?」
「あったんだよ」

思いっきり空っ惚けられた。おいおいおい。半眼で突っ込む。
と。

「時に鋼の、先日の件の報告書だが、」

薄ら寒い笑顔で水を向けられて焦る。しまった、藪蛇だったか。

「は? いつの話?」
「まだ一月も経ってはいないが?」

取り敢えず右に倣えでにこやかにボケ返す。
一際強く吹いた風に、窓枠がカタカタと鳴った。



「‥‥‥ま、急ぐもんじゃないし?」
「口頭での報告は済んでいるわけだしね」

笑顔ついでにお互い、妥協案を提示してみる。





外を吹き荒れる風は強く、
巻き上がる砂は容赦なく肌を打ち、
目も開けていられないほどに、

建物の外はとても厳しいけれど、



ココと外の境はたったガラス一枚。
眠気を誘う日差しの中で、もう少しだけ怠けていたかった。





だからお願い、あと5分。










アルゴン。希ガス元素の一つ。元素記号 Ar 原子番号一八。
アルゴンはギリシャ語で「働かないもの」の意味。
のでのんべんだらりとしてもらいました。・・・って、「のんべんだらり」って今も使うんだろうか・・・?

...040229up

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