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gold
「そういえば、」
ふと、会話の途切れた瞬間。不意に思い出したように持ち出された言葉に来たか、と思う。
「金を錬成したと聞いたが?」
「なんのこと?」
とりあえず、白々しくも素っ惚けてみる。相手は相変わらず、人を食ったような笑顔。
「情報はいろいろなところから入ってくるものだよ」
にこやかでかつ穏やかでない台詞に嘆息する。いったいどんな情報が、どんなルートを辿って入ってきているのだか。自分ではした覚えもない報告がどこからか為されているのは今回に限ったことではなくて、気分は悪いが同時に感心をもする。その手際と人脈は、なるほど確かに、異例の昇進とされるだけのことはある。
「戻したよ、ちゃんと」
だからといって御禁制の練金を行った事実が無くなるわけも無かったけれど、犯罪者として拘束されるならもうとっくにされているはずだ。どうせ元からそんなつもりもなく、ただ嫌みのひとつやふたつも云ってやれというだけのことなんだろう。こちらとて、それでも一応弁明は入れた、それだけのことだ。
「しかし、変な話だとは思わないかね?」
「何が?」
案の定、逸れてゆく流れに素直に乗る。
「本来はそれこそが究極の目的であったはずなのに、今では単なる結果の ひとつでしかない」
「金のこと云ってんなら、それが技術の発展ってもんだろう?」
それとも、
「オレに対して云ってるんだったら、大きなお世話だ」
たまにわざとオレを逆撫でる言葉を選んでくるサド男を睨みつけて云った。
「いや‥‥‥」
そのサド男が小さく呟く。
「君ではなくて、私に、かな」
サドでなくて、マゾだったか。
聞いたことはないが大層な野望を抱えているらしい軍人は、緩く首を振って、力の抜けた顔で笑う。
「まあ、お互いに頑張ろうということだよ」
「何、そのやる気のないシメ?」
呆れて返した。仕方がない。今回は痛み分けってことでチャラにしてやろう。
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