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calcium
「なるほど、頑丈そうな歯だね」
「はふほふほひ?」
「すまないが、理解出来る言語で頼むよ」
ガチッ
顎を押し広げて口内に差し入れられていた指は噛み付く寸前に引き抜かれ、打ち合わされた歯がただ硬い音を響かせる。
「危ないだろう」
他人事のように片眉を上げる男を睨みつけた。
「アンタがッ! いきなり妙な真似かますから!」
「で?」
「‥‥‥っ!! 何のつもりだって云ったの!」
抗議などどこ吹く風で促す相手。腹立たしくも云い直せば、
「あれだけ食いしばっていられるんだから、さぞかし丈夫なんだろうと思ってね。 うん。綺麗なものだ」
本気で感嘆しているらしい様子に一気に気が抜けた。
「そりゃどうも」
お誉めにあずかり光栄ってか? 皮肉っぽく続けた言葉に返されたのは、思いがけずに真摯な瞳。
「貴重な財産だ。大切にしたまえ」
「‥‥‥云われなくても」
後半は溜め息に消えた。
地を踏みしめて
奥歯を噛み締め
食いしばる。
どんなときだって全部の力で立ち向かっていくそのために。
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