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chlorine
癒してくれる人もなく
自ら癒せるゆとりも持たず
大きく開いた傷口は
膿んで
爛れて
今もなお、醜く引き攣って、この胸に。
「‥‥‥で? 何のつもりだよ?」
「丁度いい場所にあったものでね」
不機嫌だと顔に大書きして睨み上げてくる少年の頭上で片手を遊ばせる。
結い髪を軽く掻き回して乱せば、嫌がって竦められた肩から首の線に、猫を彷彿とさせられ目を細めた。
「アニマルセラピーとか云うものかな」
「どこにアニマルが居るってぇ?」
「私の目の前に」
呻くような声に微笑で答える。
すると、
「ガウッ」
伸ばしていた手に噛み付かれた。
流石にそれは予想外で、振り払った指先に残った、赤い歯型。
「まいったね」
言葉以上にそう思う。負けだ、これは。
いつまで経とうと傷は生々しく
どれほど耐えても痛みは絶えず
ならいっそ、この胸ごと君に噛み千切らせて
流れる血など灼き止めて。
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