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cobalt
「青い空のバカヤロウ」
聞こえてきた台詞に、書類を繰っていた手が停まる。また何を、思春期の若者のようなことを。
そう云ってやれば、
「思春期真っ只中で悪うござんしたねえ!」
皮肉げに云い返された。別に悪くはない。悪くはないが、
「思春期‥‥‥?」
自分から云い出したことながら、彼にはあまりにも不似合いな気のするその単語に眉を顰める。世間一般に云う思春期とはどんなものだっただろうか。例えば、自分が彼くらいの年の頃は。思い出そうとしかけて途中でやめる。口元に苦笑。自分の送ってきたそれとて到底、人のことをとやかく云えるような『普通の思春期』ではなかったことに思い至ったからだ。
「まあ、いいがね」
「何が?」
呟きに、不機嫌そうな問いが重なる。今日の彼は通常以上に沸点が低いらしい。あまり遊びすぎない方が得策だろう。そう判じて、同時に内心で首肯する。普段から、思考と感情のバランスが著しく釣り合わない少年。なるほど、確かに彼の持つ不安定さは、思春期の特徴といえるかも知れない。ただし彼の場合は、よく云われるそれのように、成長とともに消えてゆくものとは思えなかったが。
「思うようにならないからといって、自然現象にまであたるのはやめたまえよ」
図星らしく、睨みつけてくる視線に笑顔で返す。
たとえそれがどんな類のものであれ、彼の感情が自分に向かっているという事実を、この上なく心地良いものに感じた。
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