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chromium
「輝きが少し、変わったね」
「うわ、なんで気が付くかなコノヒト」
やっぱ変態?
失礼な呟きは寛容にも聞き流して少年に手を伸ばす。剥き出しの右肩は、僅かに、でも確かに、以前とは違う感触を伝えてきた。
「クロームを増やしたんだってさ」
他人事のような物言い。けれど返ってそこにこそ、彼が自らの整備士に寄せる信頼が窺えて、正直、面白くはない。だがそれとこれとはまた別の話で、告げられた内容には納得して軽く頷いた。なるほど、クロームの含有率が上がれば、焼きの入りが良くなる。外見的にはそれほど変わらないように見える無機質な稜線の、なのに無性にこの心を掻き立てる、炙られたような深い色味は、そのためか。
しかし。
「ということは、強度は下がった訳だ」
「まあね」
思い当たった、クロームのデメリット。大袈裟に竦められた肩に眉を顰めた。何もかも解っているような顔をしながらその実、何も解っていない少年。
「勇気と無謀を、履き違えないようにしたまえよ」
柄にもない忠告が口を衝いて出た。
「大佐こそ、無理ばっか通してると、そのうち道理が跳ね返ってくるよ」
全くだ。跳ね返ってきた言葉に苦く笑う。
クロームが生み出す鈍い輝きに顔を伏せれば、金属の味が舌を灼いた。
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