helium




手にするは刃。心には誓い。
駆け抜ける足。明日を願う。





手掛かりを各地に追って、中央・東部で情報収集。忘れちゃいけない手足のメンテ。

「バビューンッとひとっ飛び、ってワケには行かないからなぁ」

羽根でもありゃあ楽なのかね。
いっそ錬成してみるかと半ば以上本気で思う。そこへ、

「蝋細工の翼では、辿り着く前に行き倒れるよ」

水をさしてきた相手を思いっきり不機嫌に見返した。
計ったようなタイミングが気に入らなけりゃ、その喩えだって不本意極まりない。
どっかの神話の馬鹿ほど身の程知らずだとは思ってない。違う。今のオレは。

「人間が空を飛ぶためには、片翼6メートル以上は必要だそうだ」
「それがなに」

先の読めない台詞を促す言葉は我ながら険しく、そんな自分にさらに嫌悪感。
気付いてひとつ、溜め息をつく。

「ゴメン。で、何だって?」

短く詫びる。軽く上がった片眉だけが相手の同意。そして続く言葉は、

「全長12メートルでは、君など埋もれて見えなかろうと思ってね」
「‥‥‥‥‥‥さっき謝ったの取り消すから」

も一度溜め息。同時に振り上げた足は、向かいの男の鳩尾へ‥‥‥

「おっと」

じゃあなくて、白手袋へと収まった。足と両目にジリジリ力を込めて、逆襲の機会を窺う。
と。

「地道に歩きたまえよ。この足でね」

甲に音を立てて落ちてきた唇。全身から一気に力が抜けた。
‥‥‥ラジャー了解。モウワガママハイイマセンデス。





手にした刃。心の誓い。
歩き続ける。明日を越えて。










ヘリウム。希ガス元素の一つ。元素記号 He 原子番号二。原子量四・〇〇三。
ヘリウムの名前はヘリオス(太陽)からってことでイカロスさんを絡めてみる。

...030618up

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