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krypton
首を押さえつける腕。それに続く顔を半眼で睨み上げる。
寝込みを襲うなんてのは反則だろう。云えば、
「人の部屋で寝こけている君が悪い」
またぬけぬけと。
「悪いって、その基準は何なワケ?」
「君こそ、いつの間に規定など設けたね?」
ちょいと絡んでみりゃそんな返答。
基準がなけりゃ善悪はなく、ルールなしには反則もない。
悔しいけど振ったのはオレで、2割引きでどっこいってことで納得つけて溜め息ひとつ。
「爽快な目覚めのようで何よりだ」
「今のオレが爽快だったら、世の中みんなハッピーだろうよ」
毒づいてソファーの上に胡座をかく。急所を捉えていた手のひらは、存外にあっさりと離れていった。
「それは素晴らしいね」
本気でそう思ってるとはとても思えない口振りで返す相手に、前髪を掻き上げつつふと思って口にする。
「そういや大佐、『人の部屋』って、今更だけど公私混同も甚だしいよね」
「その『公』の場所で昼寝をしていた君がそれを云うのかね」
「そこを私物化してるヤツに云われたくない」
「私物化とは人聞きの悪い」
肩を竦めた男は口端で笑って、
「私はいつだって公人のつもりだよ。そうだろう、鋼の?」
無駄に自信たっぷりに云ってのけた。あーそっかつまり、
「‥‥‥オオヤケにワタクシしまくってるってこと?」
云ってやれば、微妙に深まった笑顔が迫ってきて口を塞がれる。それに思いっきり眉を顰めて、
次に開いたときには嫌味ったらしく、『焔の』とでも呼んでやろうと決めて、目を閉じた。
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