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niobium
思い上がりの代償はあまりにも痛かった。
過去の誰かのそれを鼻で嗤って、間抜けにも己が繰り返す。
「人間、謙虚が第一ってか」
「君の口から出たとは信じがたい台詞だね」
「ほっといてよ」
「ここで、君が、それを云うのかね?」
強調された言葉に、エドワードは不機嫌な表情で黙り込んだ。
この部屋の主は相も変わらずいつもの如く、山積みの書類に気乗りしないていで目を走らせている。
闖入者は自分だった。今朝の夢見の悪さを紛らわすようにドカドカと乗り込んでソファに居座り、こうしてくだを巻いている。
「‥‥‥ごめん」
小さく云ってあおのいた。ソファの背に首と腕を預ける。
目に浮かぶのは赤。
思い上がったその結果を、見せつけてくるいつもの悪夢。
「思い上がれるだけの自信もない人間に、何かを成し遂げることなど出来る ものかね」
それは、どちらかといえば独り言のような声だった。
引かれるように顔を向けたエドワードへ、
「大事をやり遂げるのはいつも馬鹿者だ。その点では君が羨ましいよ。 私には無理だからね」
今度こそ彼へと向けて、溜め息混じりにロイは告げる。
「‥‥‥一応気ぃ遣ってくれてるわけ? それともケンカ売ってんの?」
目を眇めて問えば、「さてね」と、飄々とした一言のみが返された。
思い上がりの代償はあまりにも痛かった。
なのに未だ大きく残される思い上がりの余地は、はたして幸運か、凶運か。
「絶望するには、君には才能がありすぎる」
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