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nickel
蝕まれてゆく感覚に抗う。
消えゆく己を水際で保つ。
「喰われてく気がするんだ」
「私に?」
呟きにその主体を問えば、無言で爪を立てられた。
小さく眉を顰め、口端だけで笑う。
「そんな風には見えないがね」
見下ろす躯に落ちているのは、切創、刺創、稀に銃創。
咬創もあるにはあるが、それが今の話と何ら関係を持たないことは、付けた自分が知っている。
「実際食われてたら、今頃オレはここにいないって」
呆れ声で云った少年が、もういい、と続けようとしたのを口を塞ぐことで遮る。
「‥‥‥食われてしまうのも、手かもしれないよ?」
そして囁いた。承けて、険しくなる眼差し。
「冗談だろ」
「まあね」
ひょいと肩を竦める。そこに、仕返しのように噛み付かれた。
蝕まれてゆく感覚。
消えゆく己。
『創り出せる』という錯覚の生む、大間違いの全能感。
呑み込まれてしまったら、きっと最後。
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