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oxygen
「大佐は楽しいわけ? 飼い犬暮らし」
「それなりにね」
さらりと返された肯定に、質問者の少年は胡乱な目を男へと向けた。薄く笑みを履いた口元が逆さまに視界に入る。ソファにだらしなく腰掛けた少年の頭の上、背もたれを挟んだ側に男はいた。大きく仰向いて視線で問えば、苦しい体勢への手助けかより追い込む気か、顎を取られてさらに引き上げられる。
「君は息苦しそうだ」
「‥‥‥まあね」
狭まった気管に顔を顰める少年を、男は楽しげに見遣る。比喩でなく現実に自分の呼吸を妨害している男を睨み付け、
「酸欠で死にそう」
うんざりと少年は告げた。
「そうかい?」
だがそんな少年の様子などどこ吹く風で、男は猫の子にでもするように捕らえた喉で指を遊ばせる。そして、
「‥‥‥‥‥‥何のつもり?」
「人命救助、かな」
合わせた唇を深く貪り、最後に一息吹き込んで放す。荒い息の整わないままの少年に云った。
「いつでも逢いに来たまえ。人工呼吸が必要なときにはね」
その口が否を唱え出す前にもう一度塞ぐ。溺れているようだとふと思った。
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