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polonium
「これってイーストシティ?」
置かれていた図面に目が留まった。見覚えのある街並みの、何だか見慣れない姿。
「ああ」
何かの警備用らしく所々に印の入ったそれを、無造作に男は持ち上げた。
厳重にしまっておかなければならない類の物だろうに、適当に放り出しておくあたり、
相変わらずやる気があるのかないのか判らない。
「へえ、こうやって見ると何か変な感じ」
その手元を覗き込んで見入る。旅の地図には描き入れられることのない細部。
「鳥瞰図だからね」
云われた言葉に納得する。鳥の目だ。この視点は。
高い場所から広く下界を見渡す目。
「憧れるかい?」
問いの意図が掴めずに視線で問い返した。軽く笑んで男は続ける。
「鳥の目は必要だよ。人の上に立つのなら特にね」
それをしたいのはオレじゃなくてアンタだろう。云ってやろうかと思ったけど止めた。まだ続く言葉を黙って聞く。
「上に立ってはじめて全体を見渡したのでは遅過ぎる。
見下ろせる目を持っている者こそが上に立つ資格を持つ」
語っていた男が、不意に焦点をこっちに戻した。笑みを深めて云う。
「手始めに、少佐に肩車でもしてもらうかね、鋼の?」
だから、見下ろしたいのはアンタだろうっての。
今度こそ云おうとして、でもそれだけじゃ気分が晴れない。
ちょっと考えて椅子に座る男の目の前まで近付く。
「そんなことしなくても」
よいせ、と両の軍靴を踏み付けに。しまった、結構バランスが要る。
片膝を相手のそれの上にのし上げた。
「こうすりゃ、アンタの上くらいには立てるだろ」
ぐらついた躯を背もたれに伸ばした腕で支えて見下ろしてやる。鳥の目ってのはこんなもんかとちょっと思った。
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