|
rubidium
探し求めるその石も、きっと、そんな色をしているのだろう。
「だいたいさあ、血の色が最高級だって時点で趣味悪スギ」
「単に、生命を象徴する色として尊ばれているに過ぎなかろうよ」
「そんな普通すぎる御意見はいらないの」
背中からの声を適当に流して文献に意識を戻す。近年発表された論文が集められた中のひとつであるそれは、炎色反応による金属の定性分析について論じたもの。目的との関連は薄そうだったものの、炎と金属という馴染みのありすぎる単語に気を惹かれ、何とはなしに目を走らせていた。そしてその視線の止まった、紅く輝く石の名前。
求め続けてきた石は、それとよく似た輝きを放つ。と、されている。漁り回った文献では。
それ故に、探索の道程で出会うことも多かった宝石だ。思うことはそれなりにある。
生命を象徴する色。
ついさっき蹴り飛ばしたはずの言葉が、けれど耳の奥に響いている。
だから、だろうか。
人の命を糧とするからこそ、それはそれほどに、万人を魅了するほどの輝きを持つのだろうか。
高熱に灼かれ、昇華する一瞬にだけ放たれる生命の赤。
その炎は、まるで墜ちゆく間際の太陽のように。
「‥‥‥どうかしたかい、鋼の?」
「っ」
かけられた声に過剰に反応する。振り返った先、黄昏に染まった男が笑った。
|