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radon
世界が壊れる日を思い出す。
呼ばれた気がしてエドワードは目を開いた。
薄闇に沈む室内で、浮き上がるのは散った己の毛先。
ソファに身を横たえたまま、怠惰に視線を巡らせる。机に着いた人影をその視界に捉えるのは容易かった。
デスクライトのみを点して紙面にペンを走らせるロイへと、エドワードはしばらくぼうっとした瞳を送った。
「そう見られていると落ち着かない」
どこが、と問いたくなるほどの落ち着き払った態度でロイが口を開いた。
「何か云いたいことでも?」
「‥‥‥呼んだ?」
「君をかね? いや」
「‥‥‥‥‥ふーん」
然したる意味も持たせずに呟いたエドワードに一度だけ目を遣って、手の中の書類の内容にロイは意識を戻す。夜明けにはまだ間があった。
あの日確かに世界は壊れて、
でも次に気付いたとき、それはまだ在った。
襟首を掴み上げる男の後ろ、大きく口を開けて。
壊れてしまった小さくて温かい世界とは、そこはやっぱり違ったけれど。
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