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ruthenium
「愛と勇気が友達かね」
「何かヤなフレーズなんだけど、それ」
「嫌味なのだから当然だろう」
読み終えた報告書を机上に放ち、肘をついた右の手でこめかみを押さえる。
「正義感大いに結構!と云いたいところだが、」
他人事のような顔をした少年を手招けば、怪訝な表情を浮かべながらも数歩、歩み寄ってくる。 その少年の、
「そろそろ搦め手のひとつも覚えたまえ。でないと」
「ッげほ‥‥‥!」
首を机越しに掴み取った。衝撃に噎せるのに構わず、すぐ近くまでその顔を引き寄せる。
この手を外そうと藻掻いた腕を逆の手で押さえる。睨みつけてくる金の瞳を目が合った。
ひたと見据えて云う。
「君に、別れを告げねばならなくなる」
この手で。
喉を取った掌に力を込める。見返す視線が僅かに揺らいだ。
「君が目指しているのは民衆の英雄かい?」
それならば好きにやるといい。讃えられ、担ぎ上げられ、遣い潰されて果てればいい。
だが、そうでないなら。
「綺麗に生きたいなどと、今更、考える方が間違いだ」
叶えたい一番の望み以外のために、力を尽くす余裕があるか?
‥‥‥見開かれた瞳が、確かな意思を持って光を強める。
苦しい体勢に喘いでいた唇が笑みの形に歪んだ。
「誰に云ってるつもりだよ」
そして云った、可愛げのなさ過ぎるその一言。
「‥‥‥健闘を祈るよ」
そんな言葉で締め括って、捕らえた躯を解放した。
あのまま頸骨をへし折ってしまっていれば良かったと、いつか悔やむ日が来ないことを祈った。
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