strontium




苦しみ傷つき血にまみれ
叫んで喚いてのたうち回って



それでも










「君が、」
「なに?」
「君がこれほど無茶な質でなければ、私ももう少し気が楽でいられたん
 だがね」

嘆息と共に首を横に振って云ったロイを、エドワードは冷たい目で見遣った。

「よっく云うよ」
「何がだい?」
「無茶なのはどっちだか」

仕返しのように豪快に溜め息をついて、おまけに両の手を天に向けるオーバーアクション。
それにロイは苦笑する。

「そうかね?」
「そ。」

頷いたエドワードを少し見つめて、

「まあ‥‥‥」

咳払いをひとつ。伸ばした手で生身とは明らかに異なる質感の肩に触れる。

「それがなければ我々がこうして出逢うことがなかったことを思えば、私は
 感謝するべきなのだろうね、君の無茶に」

肩を滑り降りて肘を捉えた指に、軽く眉を上げてエドワードは云った。

「アンタの無茶に?」

そして振り払う。

「さて」










地を這って
血を吐いて



それでも





それでも、挫けることなき強靱なるその魂に










「いつか乾杯をしよう。君が酒を飲める歳になったらね」
「それまでお互いに生きてたら、だろ?」
「違いない」

小さく笑い、払いのけられた手をロイは再び伸ばした。彼の、その腕へ。










ストロンチウム。アルカリ土類金属の一つ。元素記号 Sr 原子番号三八。原子量八七・六二。
炎色反応シリーズ第5弾。
サイト改装前は周期表の文字サイズで苦労しました。

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