americium




ハンプティ・ダンプティ落っこちた。




「卵って落とすと割れるだろ?」
「‥‥‥まあ、割れるだろうね」

当然すぎる問いに胡乱げな視線を投げたロイに構わず、エドワードは思案顔で言葉を続ける。

「でさ、直せば直せるわけだろ、錬成で」
「食べたくはないけれどね」

形は直っても一度落ちたものだ。作戦中でもなければ、口にしたいとは思わない。

「あれってさあ、あっためれば孵ると思う?」
「無理だな」

悩む間もなくロイは断じた。

「割れた時点で本来ならもう死ぬしかない卵だ。見かけだけ取り繕っても、それはただの死体だろう」

死者は取り戻せない。それが例え命の形を取る前の卵であっても。
告げたロイに、しかし今だ思案顔でエドワードは更に問う。

「割れてない卵は生きてるよね?」
「その他の不具合がなければ、そうだろうね」
「じゃあどうやって見分けんの?」

割れていない卵と、割れて戻した卵と。巫山戯ているのかと云いたくなる疑問は、けれどどこまでも真顔だ。

見分け方などそんなもの、

「気の済むまで温めてみればいいだろう」

ヒヨコになった方が割れていない卵だ。お座なりに返してやれば、

「ややっこしいの」
「そんなことを考える君がね」

頬を膨らませたエドワードに心の底から溜め息が出た。










アメリシウム。超ウラン元素の一つ。記号 Am 原子番号九五。原子量二四三。
名前はアメリカ大陸からコロンブス→たまごの連想。
「覆水盆に返らず」も錬金術なら戻せそうだけれど飲むのはちょっとねえと思いました。

...090606up

back


[PR]看護師の好条件求人なら:転職活動不安ですか?なんでも相談OK!