|
americium
ハンプティ・ダンプティ落っこちた。
「卵って落とすと割れるだろ?」
「‥‥‥まあ、割れるだろうね」
当然すぎる問いに胡乱げな視線を投げたロイに構わず、エドワードは思案顔で言葉を続ける。
「でさ、直せば直せるわけだろ、錬成で」
「食べたくはないけれどね」
形は直っても一度落ちたものだ。作戦中でもなければ、口にしたいとは思わない。
「あれってさあ、あっためれば孵ると思う?」
「無理だな」
悩む間もなくロイは断じた。
「割れた時点で本来ならもう死ぬしかない卵だ。見かけだけ取り繕っても、それはただの死体だろう」
死者は取り戻せない。それが例え命の形を取る前の卵であっても。
告げたロイに、しかし今だ思案顔でエドワードは更に問う。
「割れてない卵は生きてるよね?」
「その他の不具合がなければ、そうだろうね」
「じゃあどうやって見分けんの?」
割れていない卵と、割れて戻した卵と。巫山戯ているのかと云いたくなる疑問は、けれどどこまでも真顔だ。
見分け方などそんなもの、
「気の済むまで温めてみればいいだろう」
ヒヨコになった方が割れていない卵だ。お座なりに返してやれば、
「ややっこしいの」
「そんなことを考える君がね」
頬を膨らませたエドワードに心の底から溜め息が出た。
|