curium




「行き止まり‥‥‥」
「6回目だね」

嘆かわしい。云った男を睨みつけ、険しい顔のまま再び子供は紙面に目を落とす。珍しくもないゴシップ紙。一面の見出しはでっちあげのスキャンダル。
掃除係が置き忘れたか、それとも誰かが冗談で持ち込んだのか。なぜここにあるのかも分からないそれに、子供はもう結構な時間夢中だった。

「いいかげんに飽きないものかね?」
「ん〜」

空返事をしつつも視線を注ぐ先は中ほどの見開きページ。紙面を稼ぎたかったのか落とした記事の穴埋めか、はたまた単なる悪ふざけか、見開き全てを埋め尽くした巨大迷路がそこには在った。

「君も大概、暇人だな」
「そんな暇人をぼーっと眺めてる暇人には云われたくないけどね」

こんなときだけ能弁に返す子供の横には新聞に押しやられた本の山。それに目を遣る男の眼前にはそびえ立つ書類の山。見たくないのか見る気もないのか、両者それは視界の外らしい。

「まただよ‥‥‥」
「行き止まりばかりの人生か」

嫌だな、それは。男の呟きを子供は無視した。





どこまで行けど ここが現実。










キュリウム。超ウラン元素の一つ。記号 Cm 原子番号九六。原子量二五四。
キュリー点て臨界温度がありまして、臨界→行き止まりに。
暇な振りをする人達。

...090523up

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