|
protoactium
今度ばかりは愛想が尽きた。
と、云ってしまえればどんなに清々することか。
「見捨ててもいいかい?」
「そこをなんとか」
へらへら笑う子供に頭痛を覚えて額を押さえた。手元には建造物の損壊報告書。ご丁寧に軍関係の施設ばかり7ヵ所も。そして犯人は目の前のコレだ。
「私に何か恨みでもあるのかね?」
「そりゃあ山ほど‥‥‥じゃなくて、単なる事故だよ、今回のは」
わざとらしく咳き込んでごまかして、心外だと顔に書いてみせる常習犯を、一,二週間ブタ箱よりはわずかにマシな軍の拘置所にでも放り込んでやりたい気分に駆られたが、そういえば過去二度ほどそれを試してあまりの騒がしさに一時間で追い出したことまで思い出し、諦観の息を吐く。
「次回がないことを祈るよ」
「オレも毎回祈ってはいるんだけど」
「そんな殊勝な人間が、三階建てを吹き抜けになど変えるものかね」
「えーと‥‥‥リフォームとか? ‥‥‥って、冗談ですごめんなさい反省 してます、放して放せ放しやがれこのオーボー軍人、ギャー、誘拐魔!!」
「五月蠅い」
飄々と云った子供に諦めを蹴り飛ばした。襟首を掴み、引きずったまま部屋を出て階下に向かう。
「静かな部屋で少し頭でも冷やしていきたまえ」
「無理! オレってデリケートだからあんなむさっ苦しい部屋じゃ絶・対!ムリ!!」
「無理でも通せ」
空き部屋に放り出して外から鍵を掛ける。戻ろうと振り返って顔を上げると、心底迷惑そうな本日の監視当番らしい顔と目が合った。
「‥‥‥二時間は耐えてくれ」
「努力はしますがね‥‥‥」
云った横からけたたましく蹴られる扉。そして怒声。
「‥‥‥努力はします」
「頼む」
ひとつ頷いてこめかみを揉む。
騒音と部屋で待つ書類に頭痛がいや増した。
|