platinum




「帰属錯誤だな」

手洗いの水道の高さが設計ミスだ、どうにかしやがれと怒鳴り込んだら、責任者は迷惑そうな顔でそんなことを云った。

「あ?」
「ここで君が小さいことは少し考えれば当然のことで、そんなに比較したいの
 ならその対象はここの外に求めるべきだ」

そして机の左手にある山から一通、書類を手に取る。

「軍の施設なぞ、対象は成人男子に決まっている。君がそもそも規格外
 なんだ。怒るのは筋違いだよ」

ざっと目を通した書面の最後に認可のサインをし、右手側に積む。再び、左の山から取る。

「ついでに云えば、特にガタイの良い男どもを見慣れたここの人間が、
 君をとりわけ小さく思うのも当然のことだ」

次のそれにはページの中ほどで眉を顰め、そのまま右手奥に放った。

「あくまでここで正しい比較がしたいというのなら、託児所にでも行きたまえ」

左から取る。検討、サイン、右へ積む。

「もちろんそこでも小さいだろうがね」

仏頂面でルーチンワークに励みつつ、喋り続ける男。
の、うずたかく書類の積まれたその机を、





無言で蹴った。





一呼吸遅れて、バササーッと山が崩れる。舞う紙片。

「混ざった‥‥‥」
「知るかッ!」

処理前も処理済みも不許可も何もかもごちゃ混ぜになった机上に、情けない声を出す。
そんな男に吠えてついでに、そこにあった電話も投げつける。
云われたこと自体は大きく間違ってはいない。
が。
しかし。
でも。

許してなるかコンチクショウ!!!










白金。金属元素の一つ。元素記号 Pt 原子番号七八。原子量一九五・〇九。
普段の比較相手もフルメイルだし、少佐とかアレだし。と考えてみる。
でもやっぱりちっちゃいのか。

...060826up

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