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xenon
「手も足も出せんね」
「うっわ、役立たず」
「君ねえ‥‥‥‥」
全く、なんて云い様だ。
ロイはこめかみを押さえた。一度、目上の人間に対する口の利き方を教育してやる必要がある。
「だってそうだろ? 片田舎の小っさな町の、ほんの三十人程度の自警団 に、たった一晩見て見ぬふりしろ、ってくらいの命令も出来なくて、一体 誰がおエライ軍の大佐サマですかっての」
「その三十人足らずの自警団が、あの町の矜持であり売り物だ。圧力など かければ反発を煽る。有事でもない限り、無理だな」
「オレ的にははっきりきっぱりとっても有事なんですけど」
「そして、国家的には些末事だね」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
恨みがましげな視線を、パラパラと書類を弄びつつ跳ね返せば、膨れ面から恐ろしくレベルの低い捨て台詞が飛び出してきた。
「捕まったらアンタの息子だって名乗って引き取りに来させてやる!」
「丁度いい。そのときには観客の前で、心置きなく尻でも叩いてやるさ」
聞き分けのない子どもへの仕置きの候補を思い浮かべつつ、へし折れんばかりの勢いで綴じられた扉に耳を塞ぐ。
本当に名前を出されたら厄介だな、と少し思い、
そんなへまをしようものなら指をさして笑ってやろうとも思う。
まあ、どうにでもするだろう。
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