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helium
全てのものは地に引かれ
全てのものは陽に焦がれ
陽へ近づこうと足掻けども、地へ惹かれる身も切り離せずに
窓ガラスの雨粒が強風に後押しされて重力を裏切った。
「君にもあれくらいの根性があれば背が伸びるだろうに」
「根性とか云う問題じゃねぇだろ」
云うと同時に手近にあった中で一番分厚い本を引っ掴み、エドワードはロイに向けて投げ付けた。右の手で結構な力を込めたそれは、それなりの距離を斜め上方向に邁進し、重力に負ける寸前にロイに受け止められる。
「そら、根性だ」
自由落下なら描くのは放物線。そうならなかったのはエドワードの込めた怒りだとか恨みだとか辛みだとか何やら故で、それを根性というのならまあそうなのだろう。
面白がる声音に第二、第三弾が放たれる。
「植物も動物も、一部を除き生あるものの悉くは太陽を目指して成長しようとするものだが」
バシリと重い音で手に収まる本を、ロイは机に積み上げて行く。少し前はエドワードの周囲に散乱していた本達は、僅かの間にロイの前に随分な高さの山を築いた。
「君は太陽よりも、地面の方が好みかね」
「好みで選べりゃ、こんな苦労してねえっての‥‥‥」
はぁ、と大きく肩を落としたエドワードが、鬱陶しげに足下に合った最後の一冊を投擲する。それはロイを僅かに逸れて、本の山を直撃し‥‥‥
隣に建っていた書類の山まで巻き込んで、盛大に床を目がけて落ちていった。
「‥‥‥ほら」
結局は重力が勝つんじゃん?
舞った埃も静まった後、そう呟いたエドワードは、
「‥‥‥鋼の、」
「下の部署に謝りに行って来まっす!」
しゅた、っと敬礼をひとつ、こめかみを押さえるロイに何かを云われる前に、足早に部屋を出て行った。
陽に焦がれる。地に惹かれる。どちらも選べず、狭間に生きる。
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