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radium
疲れた疲れたと殊更に繰り返す男が先日口利きを頼んだ許可証のことを当てこすっているのは勿論気が付いている。詳しいことは知りたくもないがお役所的な労力を随分と必要としたらしい。その当てこすりに気が付いてはいるが無視しているのを知っていて相手はなおも疲れたと口にする。挙句の果てにこれだ。湯治にでも行かないか? ああ、とうとうこの男も名実ともに年寄りの仲間入りか。アンタと休暇なんて気が安まりゃしない、ごめんだね。云ってやれば態とらしくため息をついてまた疲れたなと呟いた。誰か一緒に行ってくれる人探せば? 分かっていないね、君は。いいよ分かんなくて。話しながらその大変だったらしい許可証を受け取、ろうとしたけれど反対側を持つ男が手を放さない。無言で引っ張る。ぐいぐい引く。破れたら取り直すのは面倒だ。でもその面倒を被るのは紙を放そうとしないこの男で、つまりは自業自得。まあ頑張れと更に引く。ビリ。嫌な音。あーあ。ねえ大佐、これ、今日中に貰って次行くつもりだったんだけど。どうしてくれやがるよ? 肩を竦めて破れた紙を眺める。無茶をしたのは君だろう。他人事のように男は云って、仕方がないと大袈裟に息を吐く。今日中に再発行するよう頼んでみよう。圧力をかけようの間違いじゃないの? 人聞きの悪い。さてそこでだ、鋼の。何だよ?
「再発行を待つ間、少し外でも歩かないか?」
‥‥‥ため息をひとつして両手でバンザイ。降参のポーズで了承の意を表してみた。
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